遺産分割協議書を徹底解説!

相続手続きを進めるうえで、遺産分割協議書はもっとも重要な書類のひとつです。

遺言書がない場合には、相続人全員で遺産の分け方を話し合い、全員が合意する必要があります。

相続財産には、現金や預金のほか、不動産、株式、自動車などが含まれることも多く、不動産など評価額の違いや共有名義の処理でトラブルになることも少なくありません。

また、相続人には前妻の子、遠方に住む甥姪など、普段から交流のない方が含まれることもあります。このような場合、相続人全員の合意を得るということは、想像以上に大変なことです。

以下において、相続財産調査について詳細な解説をしております。

遺産分割協議とは?

「遺産分割協議」とは、相続開始後、被相続人の財産をだれにどのように分けるか、相続人全員で協議し、全員で合意することをいいます。

相続人のうち1人でも欠けると協議は成立しませんので、再度相続人全員で合意を得る必要があります。

1.遺言書がないため

遺言で財産の分け方が定められていないと、相続人全員で協議して、財産の分け方を合意する必要があります。

2.相続人が複数いて、共有状態のままとなるため

相続人が複数いると、財産は相続人の共有状態となり、売却・賃貸・活用ができません。

3.将来のトラブルを防止するため

遺産分割協議の内容を文書化しておくことで、「言った・言わない」の紛争を防止できます。

4.名義変更手続きに必要となるため

不動産の相続登記、預貯金の払戻し、株式や自動車の名義変更などに必要となります。

5.相続税の申告や特例適用に必要となるため

「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」など、税務上の優遇措置を受けるために必要となります。

6.法定相続分と異なる分け方にするため

民法の法定相続分が定まっていますが、相続人全員が合意すれば、民法の法定相続分と異なる分け方にすることができます。

遺産分割協議の期限は?

遺産分割協議をいつまでにしなければならないという明確な期限はありません。 しかし、以下のような期限が設けられた手続きもありますので、できるだけ早めに遺産分割協議を行う必要があります。

手続き期限遅れた場合の影響
相続税の申告・納付相続開始から10か月以内特例が適用できず、延滞税・加算税が発生
不動産の相続登記相続を知った日から3年以内10万円以下の過料(罰則)の可能性

また、遺産分割協議が遅れてしまいますと、相続人の死亡により数次相続・代襲相続が発生し、協議が複雑化することもあります。相続人が増えると、もはや協議が進まなくなるケースも少なくありません。そのため、遺産分割協議は早めに協議を開始し、終わらせるようにしましょう。

遺産分割協議の基本的な流れ

被相続人がお亡くなりになり、相続が開始した時から遺産分割協議までの流れを以下にまとめました。

1.相続開始

被相続人がお亡くなりになった時点で相続が開始します。

2.遺言書の有無の確認

被相続人が遺言書を残しているかどうかを調べます。遺言書があれば、その内容に従い、なければ遺産分割協議を行います。

3.相続人調査

誰が相続人となるか、関連する役所にて被相続人の戸籍謄本を出生時から死亡時まで取り寄せて、相続人を調査します。また、相続人調査に基づき、相続関係説明図を作成すると相続人が具体的に誰になるのかわかりやすくなります。

4.相続情報証明一覧図の交付手続き

法務局に申請して、「法定相続情報一覧図の写し」を交付してもらいます。これによって、銀行や証券会社の解約・払戻し・名義変更、不動産登記などの相続手続きがスムーズになります。

5.相続財産調査

相続財産調査とは、被相続人の相続財産の有無・内容(預貯金、不動産、自動車、株式、借金など)を調査し、相続財産の範囲(プラス・マイナス、財産の種類や金額)を確定することです。

6.遺産分割協議

相続人全員が遺産分割協議に参加し、全員で合意する必要があります。遺産分割協議は電話、郵送または電子メールでのやり取りでも成立します。

7.遺産分割協議書の作成

相続人全員で合意した内容について、遺産分割協議書を人数分作成し、相続人全員が署名・実印押印します。

8.各種名義変更手続き

遺産分割協議書を使用して、不動産の相続登記・預貯金の解約・払戻しなど各種名義変更手続きを行います。

遺産分割協議が大変な理由

遺産分割が大変だった当事務所の過去の事例を踏まえてお伝えします。

1.返事がないor遺産分割協議協議に応じようとしない

相続人の中には、「自分には関係ない」とか「面倒」であると協力してくれない方がいます。

特に、当事務所の過去の事例では、以下のようなケースでみられました。

・遺産が少額
・そもそも被相続人や他の相続人と疎遠
・手続きの重要性を理解していない

2.前妻の子が相続人で、連絡しても返事がない

前妻(または前夫)の子どもは、被相続人や他の相続人と疎遠であっても法律上は相続人となります。

このケースで大変なのは以下のとおりです。

・連絡先がわからない
・手続きに協力する義務があると思っていない
・感情的になりやすい
・勝手にしてほしいと思っている

上記のようなケースでは、必要書類を送ってもらえなかったり、遺産分割協議ができませんので、難航します。

もちろん、遺産分割協議は、相続人が1人でも協力しないと成立しません。

その結果、他の相続人は何も進められず、相続登記・預金解約・相続税申告など、あらゆる手続きが止まってしまいます。

このようなことがあれば、遺産分割は非常に大変なものとなります。
ご不安がある場合は、行政書士などの専門家に相談することで、手続きのご負担やトラブルの可能性を大きく減少させることができます。

財産ごとに作成する遺産分割協議書

遺産分割協議書は、すべての財産について合意しなくても、不動産や預貯金など合意した財産から、例えば、不動産のみの遺産分割協議書、預貯金のみの遺産分割協議書など、財産の一部についての遺産分割協議書を作成することができます。これによって、特定の財産の相続手続きをスムーズに進めることが可能となります。

財産ごとに遺産分割協議書を作成するメリットは以下のとおりです。

①特定の財産の相続手続きを先に進められる
②相続財産が少ない場合、内容が明確になりわかりやすい
③協議が調った財産から順次手続きできるためスピードアップ

財産ごとに遺産分割協議書を作成するデメリットは以下のとおりです。

①書類作成や押印などの手間と費用が増える
②複数の書類の管理負担が増え、紛失リスクが高まる
③全体の整合性がとれないリスク
④協議の途中に相続人が亡くなるとさらに複雑になる

まとめ:遺産分割協議は早めの着手と正確な情報収集が重要です

遺産分割協議は、遺言書がない場合に必要となる相続の中心的な手続きです。相続人全員の合意が必要で、不動産・預貯金・株式・自動車など、財産ごとに必要となる名義変更手続きも多岐にわたります。

また、遺産分割協議が遅れてしまうことで、以下のデメリットや不利益が生じます。

・相続税の特例が使えなくなる
・不動産の相続登記に10万円以下の過料の可能性が生じる
・数次相続が発生して相続人が増えて、協議が複雑化する

早めに、相続人調査や相続財産調査を行い、正確な協議書を作成することで、「揉めない相続」「スムーズな名義変更」「相続登記」「相続税の適正な申告」へとつながります。

ご不安がある場合は、行政書士などの専門家に相談することで、手続きのご負担やトラブルの可能性を大きく減少させることができます。

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