遺言書がないとどうなる?よくある相続トラブル事例とともに解説!
「うちは子供たちが仲いいから大丈夫」
「財産もそれほど多くないし、遺言までは必要ない」
「まだまだ元気だから」
こうした理由で遺言書を作らないままにしておられる方が少なくありません。
しかし、実際には、遺言書がなかったことで、思わぬトラブルに発展するケースは決して珍しくないのが現実です。
本ページでは、遺言書を作らなかった場合に起こりやすいトラブル事例を挙げながら、遺言書準備の必要性・重要性ををわかりやすく解説します。
遺言書がない場合、どうやって相続が進むの?
遺言書がない場合、相続は「相続人全員による話し合い(遺産分割協議)」で進めることになります。
民法で定められた「法定相続分」はありますが、実際の遺産の分け方は相続人全員の合意が必要となります。
この「全員の合意」という条件が、トラブルの火種になることが少なくありません。
遺言書がない場合の実際のトラブル事例
トラブル事例①「仲が良かった兄弟が話し合いで対立」
被相続人の生前は、仲のよかった兄弟姉妹でも、いざ相続の話になると、状況が一変することがあります。
・よくあるケース
「長男だから多めにもらうべき」
「介護したのは自分だから評価してほしい」
「昔、援助してもらった分はどうなるの?」
それぞれの言い分はもっともで、基準がないために話がまとまらないのです。
遺言書があれば、「本人の意思」という明確な基準があるため、感情的な対立を避けやすくなります。
トラブル事例②「配偶者と子どもがもめてしまう」
再婚家庭で、子ども(例:前妻の子)が別世帯になっている場合、相続をきっかけに配偶者と子どもが対立するケースもあります。
・よくある場面
配偶者は「これからの生活が不安」
子どもは「自分の取り分が少なくなるのでは?」
遺言書がないと、どちらの主張も法定相続分に基づく主張になり、話し合いが平行線になりがちです。
遺言書があれば、「配偶者の生活を優先する」「子どもにもきちんと残す」といった本人の考えをきちんとした形で残すことができます。
トラブル事例③「不動産が原因で話が進まない」
遺言をご検討されている方は、自宅不動産ばかりか、賃貸用の物件をお持ちの方も多く、不動産の取り扱いが相続トラブルの中心になることがよくあります。
よくある事例
・誰が住み続けるのか決まらない
・売却したい人と残したい人で意見が割れる
・分けられない財産のため、不公平感が出る
遺言書があれば、「この家は誰に」「この物件はどうするか」をあらかじめ決めておくことができます。
トラブル事例④「相続人の一人と連絡が取れない」
相続人の中に「長年疎遠になっている親族」「住所が分からない兄弟姉妹」がいると、遺産分割協議そのものが進まなくなることがあります。
遺産分割協議には全員の同意が必要ですので、1人と連絡が取れないだけで、手続きが何年も止まってしまうというケースも珍しくありません。
遺言書があれば、原則として遺言の内容に沿って手続きを進められるため、
こうしたリスクを大きく減らせます。
トラブル事例⑤「相続の手続きが想像以上に大変」
遺言書がない場合、相続手続きでは次のような場面が増えます。
・何度も相続人同士で集まる必要がある
・意見が割れるたびに話し合いが振り出しに戻る
・書類のやり直しが何度も発生する
結果として、「こんなに大変なら、生前に何かしておいてほしかった」と、ご家族が感じてしまうこともあります。
遺言書があるとどう変わるの?
遺言書があれば、相続の進み方はまったく大きく変わります。以下のメリットがあります。
①話し合いの基準ができる
→ 感情論になりにくい
② 手続きがスムーズになる
→ 役所・金融機関での対応が楽になる
③ 家族の負担が減る
→ 精神的なストレスが少なくなる
遺言書は、財産をどう分けるかということだけでなく、 家族の負担をどう減らすかのための準備ともいえます。
「うちは大丈夫」と思っている方ほど、注意が必要です。
実際にトラブルになったご家庭の多くが、生前はこう言っています。
「うちは仲がいいから」
「もめるような関係じゃない」
「その時になれば話し合えばいい」
しかし、相続が発生してみると、そうはいかない家庭を多く見てきました。
気持ちに余裕があるうちに、冷静に考えられるいまこそ、遺言書について考えていただきたいです。
遺言書はいつ作成すればいいでしょうか?
「遺言書は高齢になってからでいい」そう思われがちですが、実際には以下のようなタイミングこそ遺言書作成のいい機会だと思います。
・財産の内容がある程度固まったとき
・家族構成に変化があったとき
・将来に少しでも不安を感じたとき
「まだ早いかもしれない」と感じる時期こそ、一度将来のことを整理しておく価値があるといえます。
よくあるご質問
遺言書は、相続が起きる前にできる、もっとも確実な準備のひとつです。
相続情報一覧図の手続きについて、よくご相談いただくご質問を以下にまとめました。
Q1.うちは家族仲がいいので、遺言書までは必要ない気がします。それでも作ったほうがいいのでしょうか?
はい。実は、家族仲のよいご家庭ほど、遺言書が役に立つケースは多いです。
相続の場面では、誰かが悪意を持たなくても、立場、配偶者の助言や状況の違いから意見が食い違うことがあります。
遺言書があることで、ご本人の意思という共通の基準ができ、話し合いが感情的になりにくくなります。
Q2.財産がそれほど多くありません。それでも遺言書を作る意味はありますか?
はい、あります。
相続のトラブルは、財産の多さよりも分けにくさや感情で起こることが多いです。
「どう分けるか」を言い出せなかったり、なかなか決まらないことで話し合いが長引くケースは少なくありません。
遺言書は、財産の金額に関係なく、ご家族のご負担を減らすための準備になります。
Q3.遺言書を作るかどうか、まだ迷っています。それでも相談していいですか?
はい、もちろんです。
実際、遺言書を作成するか決めていない段階でご相談に来られる方も多いです。
まずは、今の状況を整理してみて、そのうえで「今は作らない」という判断をされることもあります。
無理に進めることはありませんので、安心してご相談ください。
まとめ:遺言書は「トラブルを防ぐための準備」
遺言書がないと、以下のデがありますリスク
・家族・子どもたちがもめる
・気持ちのしこりが残る
・手続きが止まる
こうしたリスクを残されたご家族が背負うことになります。
一方で、遺言書があれば、以下のようなメリットがあります。
・話し合いの基準ができる
・手続きが進めやすくなる
・家族の負担が軽くなる
残されたご家族がご納得のうえ、相続することができます。
遺言について、まずは状況整理から
「うちも当てはまるかもしれない」
そう感じていただた方は、まずは今の状況を整理するだけでも大丈夫です。
遺言書を今すぐ作るかどうかを決める前に、一度、専門家と一緒に整理してみることで、ご自身とご家族にとって適した準備が見えてきます。

